フリーランス言語聴覚士はしっ子の weekly magazine

~北のマチのフリーランス言語聴覚士の医療教育系ブログ~

意識の真ん中におく。

【第56回】


日頃
小さいながらもカフェを経営し、運営している中で
気を付けていることがある。



ある本の受け売りだけれど


「消費者意識を刺激しない。」ということ。



ゆっくり、いそげ
カフェからはじめる人を手段化しない経済

クルミコーヒー店主 影山知明 著



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この本の中に
箱カフェが意識したい要素がてんこ盛りで


特に


「消費者意識を刺激しないこと。」
「テイクから入るか、ギブから入るか」については


まさに
目指したいことがそこに書かれていて



夢中で読みすすめる反面、

考えることが多すぎて

読破するのに時間がかかってしまった。



読みながら自分の考えをまとめる
丁寧に向き合った一冊だったと思う。




では、「消費者意識を刺激しない」とはどういうことなのか。




私たちは、企業の価格競争の中で
低価格で購入することに慣れていると思う。



よいものを、より安く。



そんなこと、
販売者からしたら無理でしかなくて


安くなるなら、品質が低下する(ことも否めない)のはセオリーだ。



でも、毎日のようにスーパーのチラシやCM、ネット広告で
嫌でも値段という数字を見せられているおかげで


私たちは気づかぬうちに


「少しの支払いで、より多くのものを受け取りたい」


そんな意識に鍛えられているのだと思う。




生産者の商品に対してかける愛情や、
だれにも負けない商品への思いなんて抜きにして


品物だけが品定めされる



少しでも安く、より良いものを手に入れたい。


そんな意識に無意識になっていないだろうか。




メニューや値段を考える上で、
「消費者意識を刺激しない」ことは心掛けている。




その育てた消費者意識に加担するようなことはしたくないし、


第一、むやみに安売りに走ると、個人店は大手に太刀打ちできない。



わざわざ貴重な時間を割き、

数ある店や
数ある娯楽や用事よりも


「カフェで過ごす時間」を選んでくれた方には



値段や質量で還元するよりも


もっとお店側として
一人一人のお客様に届けられる付加価値を追求したい。



それが、個人店だからこその強みだと思う。



かける言葉選びのひとつでもいい、
送り出すときの送り方でもいい、



お店に一歩入ったときから
お店を出て、カフェで過ごした時間を振り返る時まで


「なんか心があたたかい」


そんな心地いい気持ちを反芻できるような

プライスレスな時間を提供することができれば



むやみに消費者意識を刺激しなくても、


たくさんのものを持ち帰ってもらうことができるのではないか。


と思っている。




カフェに訪れた際に寂しい顔をしていた人を

帰るころには、晴れやかな顔にすることができれば、



それは、

カフェ経営の数字に落とし込めない
お客様から頂いた『お代』なんだと思う。





店側が売り上げばかりに注目して、

give&takeの「テイク」ばかりを主張すると、(この場合は、お客様から頂くお代)



それもまた消費者意識を刺激することにつながる。





giveから始める。

giveの方法を考えられる限りそろえて、

その方や、その時にあったgiveを続ける。




giveの結果、
誰かの心に火を灯すことを続けていれば、



点と点が線になるように、


多世代がゆるくつながる
本当の意味の地域共生型カフェになるのではないか、
と思っている。


どうやら、1986~1987年生まれは
『共生』がテーマで、

一人勝ちしない方法を考えている人が多いらしい。


1987年生まれドンピシャの私は、

確かに『一人勝ちする』ことなんて微塵も考えていない。

『共生』ばかりを考えている。


『働く』=『社会貢献』=『社会還元』
損得勘定なくシンプルに考えている。



最近、ふと思い、
意識の真ん中に置いていること。



”あなたの「生きる」を応援したい”



地域共生型カフェの運営をしながら、

そんなことを町の片隅で本気で思っている。