フリーランス言語聴覚士はしっ子の weekly magazine

~北のマチのフリーランス言語聴覚士の医療教育系ブログ~

【学生さんに見てほしい】あの時の体験を大切に。

【第81回】

学生さんに見てほしい!あの時の体験を大切に。

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今、医療・福祉系の学生さんは


着々と国家試験合格発表があり、


日に日に、その道のプロ1年生が生まれていることと思います。



私の業種、言語聴覚士
合格発表は本日時点では、まだ。



今頃、どきどき落ち着かない日をお過ごしのことと思います。




私自身も
自慢ではないですが、


国家試験ギリギリ突破組なので、


合格発表の日は、
なかなか厚生労働省のホームぺージを確認できず、



当時の担任から電話をいただき、

とっても驚いた記憶があります。



1点の差で幸か不幸か道が分かれる。




シビアな世界ですが、
試験や資格とはそういうものなんですよね。





さて、今日の本題です。



本日のテーマ。




学生さんに見てほしい!あの時の体験を大切に。



医療・福祉系の学生のみなさんは

ボランティアに参加した経験はありますか?




今回は、そんな経験を大切にしてほしい、と

勝手に先輩口調で話してしまい申し訳ないのですが、



その道で働いた後も
とても貴重な経験となるので、



今日のテーマとさせて頂きました。




私には、忘れられない2つの経験があります。




まず一つ目の体験。




専門学校入学したての1年生の時、


札幌のよさこいソーラン祭りに遊びに参加したい、という

脳性麻痺の女性の介助ボランティアでした。



私以外の学生数人と、


事前にトイレ介助など説明を受け、
(実際にはトイレをお手伝いすることはなかったのですが)



いざ当日。



車椅子介助を学生で交代でおこない、

帰りにはお土産までもらって

お見送りして初めてのボランティア体験は終了しました。





その時、終わってから気づきました。



何も、そのボランティア対象の方と
向き合っていなかったと。



無事に事故なく終えることを最優先にして
(これは当然なのですが)



その方に少しでも楽しんでもらいたい、とか

自分も一緒に楽しむ、とか

そういった視点が全くもてていなかったと。




初めてのボランティア体験だからそんなもの、
とも言えるかもしれませんが、


私は気づかないうちに、


その方を
「障害者としてみていた」ということだと思います。




学校で習った「障害」として捉えてしまい、



「障害」を持っている若い女性という見方で、
その方に向き合っていなかった。




たまたま障害を持っているだけで、
目の前のその人は、個性を持った一人の人。




そこには当時、全く気づけていませんでした。







2つ目の忘れられない体験は、


就職してしばらく経った後、参加した
車椅子登山の介助ボランティアでした。



初めは、私自身もどきどき。



車椅子で登山、どういうこと?



わからないながらも、
大学の学生ボランティアさんと


泊まり込みで参加しました。




当日、参加される方を見ると、
平地でも車椅子自走が難しい方も多い。


車椅子上で姿勢保持できず
ベルト固定している人もいる。




そんな中、JINRIKIという器具を装着し、

標高702mの山をみんなで登りました。



車椅子の登山者1人につき、
ボランティア5~6人。



チャレンジする条件は、
障害があっても最後まで登山を楽しむこと



そしてボランティアは、
必要な手伝いだけすること。




このさじ加減が難しかった。



でも、その方の頑張りを見ていると
自然とわかりました。



つらそうな場所はみんなで声を掛け合って、
牽引し介助する。



平地の場所は声かけのみで、
みんなで楽しく一体となって登る。



そして、

「手伝いが必要か」「一人で頑張るか」


聞くこと。





登頂、そして下山後は、



素晴らしい笑顔で
みんなでチャレンジを終えました。




あぁ、これでいいんだな。




どうして欲しいか聞くことって、
こんなに力を引き出す大切なことなんだなって、


体験を通して学んだことでした。




介助が必要なことはたくさんある。


でも、介助者が必要以上に介助をすると、



その方の能力も意欲も奪ってしまう。


そして依存関係が生まれてしまう。



それは、その方が悪いのではなく
介助との距離感を確認しあわなかったことに原因がある。




専門職として働き始めたあとも、
この視点はとても大切なものです。






色んな体験をし、



その時は上手くいかなかったこと

こうすれば良かったな、って後悔すること

上手くいったこと




一人一人固有のあの時の体験は、

あなたの財産になります。




体験があるから

自分の考えるベースがあり、




今度はこうしてみよう、と考えることができる。




学生の時に経験したことこそ、


その後、自分の糧になる大きな資産となります。




合格発表前後で
色んなことがめまぐるしく変わる頃だと思います。



ふとした時にあの時の体験を
思い出してみてください。



きっと、これからのあなたを
応援してくれるものとなると思います。



エールを込めて。




このブログを読んでくださったみなさんが、

素敵な臨床家になることを祈念しております。