フリーランス言語聴覚士はしっ子の weekly magazine

~北のマチのフリーランス言語聴覚士の医療教育系ブログ~

その行動はなんのため?

【第92回】

その行動はなんのため?


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いつもこのブログに訪問下さり
ありがとうございます。




本日のテーマ、ずばり

その行動はなんのため?



人が何か行動を決める時、

そこには何かしらの「動機」があります。




無意識に選択している行動も、

すべて自分の中で判断し、行動に結びついています。



習慣的行動ならほぼ反射的に判断しているし、




初めてのものなら、判断するまでにじっくりと

過程を踏んで行動に結びついているものです。





この時、行動を決定するために

もとになる「動機」があります。





自分の中から湧いてくる内発的動機づけと


外部からやってくる外発的動機付け





大きく分けるとこの2つ。





さてさて、この動機付け。



考えてみると面白いものなんです。





例えば、
「この分野を勉強しなさい」と誰かに言われた時。



内発的動機付けでは、
きっかけは人から言われたことだけど、



「自分に必要な勉強だ!」と
自ら熱心に取り組む。




その点、外発的動機付けでは、

「言われたから仕方ない」としぶしぶやる。



怒られたくないから。

嫌われたくないから。

やる気がないから、そこそこに取り組む。





さて、効果的なのはどちらでしょうか?





もちろん同じことを取り組んでも、

実践的で実学に結びつくのは前者ですよね。







例えば、
社会に必要だと思う新しいサービスを始めようと思ったとき。




自分の経験に基づいて、

苦労している人を見てきたから、
その人たちが幸せになれるサービスを新たに作りたい


内発的動機付けは、
自分の中から湧き出てくる動機です。




対して、



外発的動機付けでは、



自分ではそのサービスが必要なのか、
よくわからないけれど、


周りが勧めるから、きっと稼ぎになりそうだから
〇〇さんに喜ばれそうだから、



自分の内からくるものではなく、

外からかかる言葉や期待、
誰かの意志にコントロールされるように行動決定します。





この行動決定における
内発的動機付けと外発的動機付け。




行動のもとになる「動機」が長く持続し、
目標達成に導きやすいのは、


内発的動機付けの方だそうです。





ここまで読んでくださった方なら、

当然だな、と思うかもしれません。





誰かからそそのかされたり、
無理矢理に指示されたりしたものは

集中して行動できるのも一時的、




自分から主体的に選び、取り入れたものは

やる気みなぎり、
目標達成まで最後まで走り抜けられる。




こういった仕組みになっているんですよね。






さらに心理学でいわれていることを
付け加えますと、



ある恐ろしい研究があります。




ある実験の現場において、

実験指導者から、被検者Aさんは、被検者Bさんに
痛み刺激を加え続けてください、と指示があります。



被検者Aさんは、自らの意志では
被検者Bさんに痛み刺激を加えることを抵抗します。


ですが、自分の行動のもとになる実験指導者の指示を受け入れると、
被検者Aさんは被検者Bさんへ痛み刺激を加えることができるようになります。



はじめは、弱い痛み刺激から。

徐々に強い痛み刺激になり、
最後には被検者Aさんはかなり強い痛み刺激を被検者Bさんに与えるようになる。



人間は、自分ではない人の指示によって、
非道なこともできてしまう
、ということが証明された実験です。




そこには自分の意志はなく、
「言われたからやっただけ」という構図ができるからです。




本人に罪意識はない。



恐ろしいですよね。




こうして実験で客観的にみると、恐ろしいですが、

実はこのようなことは実生活でも

日常よく行われていることです。




オレオレ詐欺の売り子役の人も、

お金を取りに行けと言われたから受け取りにいっただけ。

直接加担していないから、罪の意識はない。




学校のいじめの現場で、

学校の裏サイトの空気を読んで
誰かの悪口をみんなと一緒に書き込んだ。


首謀者が作った流れがあるから、
自分は空気を読んでその流れにのっただけ。


そこに罪の意識はない。





人間って、恐ろしいものです。




行動決定にもとづく
内発的動機付けと外発的動機付け。




外発的動機付けは悪いものではありません。



初めは、外発的動機付けがきっかけになることも多いからです。



「やれ」と言われてやってみたら

意外に楽しく、自分に合っていた、
そんなこともよくあることです。




それは、
きっかけは外部からのものだったけれど、

その後は自分のものにしていったからですね。




少し難しい話かもしれませんが、


大事なことは、


勇気をもって何かを始めるとき、



その「動機」は自分の中からのものなのか、

外からのものなのかを意識できるといいと思います。



なぜなら、
内発的動機付けにもとづく行動の方が、
効果を持続し、発揮されやすいから。




なにも難しい理由ではなく、


単純に自分がこれを好きだから
という理由でも大丈夫です。



大切なことは、
その行動はなんのためにしているのか考えること。



同じ仕事一つするとしても、


誰かの目を気にして、
仕方なく取り組むよりも、



「これは自分にとって勉強になる仕事」と思い
取り組んでくれる方が、



頼んだ方も気持ちいいし、
その姿勢は見ているだけでもわかるものです。




今、全世界は初めて遭遇するウィルスとの戦いに、

本来の自分の仕事ができず、

やる気がわかない人も多いかと思います。



このブログを読んでくださっている
医療、介護、福祉関係の皆様なら


通常業務ではなく、
感染対策で毎日消毒作業ばかりしている、


こんな仕事は自分の仕事じゃない、
とつい思ってしまう人もいると思います。



でも、本当に本当に
無駄なことって世の中何一つないものです。




問題は、同じことを経験しても、

そこから学べる人と、学べない人がいるという事実。




ぜひ、どんな事態でも、
少しでも前を向いて取り組める人でありますように。




「行動」から色々と考えてみました。